月別アーカイブ: 2015年3月

近くて遠い、三浦の三崎。

横浜から下道でおおよそ1時間。
漁業と農業がどちらも盛んな海辺の町は、近いようで遠く、異国の風情を感じたりもした。

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春の海 ひねもすのたり のたりかな  与謝蕪村
(はるの海は一日中ゆったりとうねっていて、まことにのどかなことだ。)

先月PARISmagの取材で訪ねた海が大好きな女性との出会いでこの句を知った。
参照:「海も山もある。神奈川の葉山で1年暮らしてみました。」|PARISmag

音の響きやリズム、のたり感など、これ以上はありえないというところで完結されている芭蕉の一句はそれからしばらくわたしの頭のなかでリフレインし続けている。 続きを読む

ロボットお母さんの行く末

昨日のほぼ日刊イトイ新聞、今日のダーリンにて糸井さんが書いていた一言が妙にしっくりきた。

”テレビの影響なのかどうなのか知らないけど、世の中の人やら組織やらいろいろが、どんどん「ロボットお母さん」化している気がしている。” ー今日のダーリンより

ここで語られているように、ロボットお母さんは” 超絶にやさしい”。口答えしないし機嫌をとってくれるし、いつどんな時でもこちらに向かって愛嬌を振りまいてくれる・・・・。本当にその通りだなぁと思った。 続きを読む

愛する悲しみよ、こんにちは。

頭の中のぐらぐらに目を凝らして見ていると・・・焦点は揺らめいて、気持ち悪くなったりもする。

春という漠然とした不安定を抱えて、今年もまた、桜の木の下に立ち尽くす時が来た。

「悲しみよこんにちは」。なんてステキなタイトルだろう。春にぴったりのこの一節に想いを巡らせて、悲しみを直視する。 続きを読む

写真、光の描き出すもの

先日、あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)で行われた写真家・野町和嘉さんの講演会「聖地巡礼」に参加した。

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                                 画像引用:あーすぷらざ

はじめに脱線しておくと、「地球市民かながわプラザ」ってすっごく大それた施設名だなぁという驚きが少なかからずあったのは間違いない…。察するところ、それ位の視野を持って ”地球全体を俯瞰できるような市民を育てていきたい ”というような強い熱意のもとの命名なのでしょうか?

実際のところはわからないけれど、結構なインパクトがありました。
おおきな目でみたら、あらゆる枠組みや国籍も越えて、わたしもあなたも「地球市民」。
結構かっこいい理念かもしれない。
話を元のレールに戻します。講演会があることを見つけてきてくれたのは彼なのだけど、偶然にも「聖地巡礼」という写真展、2009年に東京都写真美術館で開催された時にひとり足を運んだことがあった。

不思議なことに巡り巡ってもう一度、野町さんの「聖地巡礼」と対峙することができたのだった。 続きを読む

モノコトヒトへ

モノからヒトへ 価値の転換
時は2015年。震災から4年。” モノからヒトへ ”  価値の転換はより目に見える形で少しずつ、表面的にもその変化は露呈してきたとしてみよう。

もう随分長いこと「モノ」中心の時代が続いてきた。
何がほんとうに良いモノか、必要なモノか、大事なモノか…。ゆっくり考える余裕もなく、攻め立てられるように、美しいモノ・完璧なモノ・巧妙なモノ・デザインされたモノ・よりクオリティの高いモノ・珍しいモノ……

挙げだしたらキリがないほどに。それらは次々と生み出され、生産され、道半ばに入れ替わり、色付けし、新しい姿となって再度生まれて繰り返されて。

もういい加減 ” モノ ” 中心の文化に疲れ始めた人々は、少しづつ ” コト” への憧れを募らせていった。 続きを読む

かぐや姫、求められることの悲しさ。

先日、劇場公開ぶりにテレビで公開された「かぐや姫の物語」を中盤から見はじめて、終盤に向かうにつれて悲しくてたまらない気持ちになった。

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劇場では2回見て、それからしばらく時間が経っていたわけなのだけど、以前とはまったく違う気持ちで見ている自分がそこにはいて、それがなんなのか観ていく中で考えていた。

かぐや姫の気持ちに共感しているとか、感情移入しているとも少し違う。それなのにどうしてこんなに悲しくなるのか不思議な気持ちだった。 続きを読む

光と風と火と女。

もう随分時間が経過してしまったけれど、先日『灯台もと暮らし』のイベントに参加して、生まれて始めてみそを作った。

味噌作りは案外簡単で、今は本棚に立てて、完成を待っている。
煮た大豆と、こうじと、塩があれば作れてしまうというのは随分な驚きだった。
粘り気のある大豆の柔らかさと、こうじのいい匂いが味噌作りには欠かせない。

発酵デザイナーの小倉ヒラクさんは名前の通りいろいろな意味で超越していて、おもしろく 、魅力に富んだすてきな自称おじさんだった。(正直まだまだおじさんにはみえない。)

もとくらがこれまでに地方取材を行ってきた中で感じたことと、メディアとしてのこれからのあり方を語ってくれた中で印象に残っている話をかいつまんでみる。 続きを読む

1日 4時間 。

天気もこころも慌ただしい3月。
気持ちだけは穏やかにいたいと思えば思うほど、中々そうもいかないという葛藤に苛まれたり。

部屋の散らかり具合と、こころのそれは、よく似ている。

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きちんとした暮らし。生きていくために大切な食事を丁寧に作ろうとしたら、下ごしらえから始まって、一汁三菜。出来上がるまでに2時間くらいかかってしまう。 続きを読む

3月5日、節目のまじない

こぶしをギュッと握りしめ、とびきりの笑顔で駆け寄ってくる一枚の写真。

そこに写る小さな少女の名前は「美咲ちゃん」。
わたしと同じ名前で(23才も年下で!…随分大人になりました)満面の笑みを浮かべる彼女の姿に思わず自分の幼少期を思い浮かべてしまった。

”「わたしのおうちはここ。たくさん家がつながっていて良いでしょ」と屈託なく話す美咲ちゃん。生後1ヶ月で入居して以来、仮設住宅で育まれた命は、幼稚園に向かって駆けるほど、大きくなった。”        【写真・文 梅村直承】5日付 毎日新聞一面より

 

3月5日の今日は、私事ではあるけれど2度目の結婚記念日にあたる。そしてこのブログ【紡ぎ、継ぐ】を始めたのも実は1年前の今日なので、いろいろ重なってささやかに節目の日付だったりする。

ようやく1年。気づいたら2年。そんな兼ね合いだ。 続きを読む

” おわりからはじまる ” 反転力の回復。

物語は必ずしも直線方向には出来ていない。

というよりもむしろ、直線方向ではない螺旋的な混沌の中からこそ、生まれ得るものなのではないかしら。・・・と感じた。
先日B&Bで行われた「ケルトと日本 その装飾的思考と神々」というイベントで、作家・編集者の畑中章宏さんが進行役として多摩美の教授をされている鶴岡真弓先生のお話を伺った。

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                    ー「ケルズの書」より

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