「明るい地上には あなたの姿が見える on this bright Earth I see you」と題された現代美術家・内藤礼さんの展覧会について、ふり返ってみたいと思う。
茨城県の水戸芸術現代美術ギャラリーで10月8日まで開かれていた。
いつか体感してみたいと、以前から関心を寄せていた作家さんでもあったので、私は長年の夢(?)が叶ったような浮き足立つ気持ちで会場を訪ねた。 続きを読む
「明るい地上には あなたの姿が見える on this bright Earth I see you」と題された現代美術家・内藤礼さんの展覧会について、ふり返ってみたいと思う。
茨城県の水戸芸術現代美術ギャラリーで10月8日まで開かれていた。
いつか体感してみたいと、以前から関心を寄せていた作家さんでもあったので、私は長年の夢(?)が叶ったような浮き足立つ気持ちで会場を訪ねた。 続きを読む
日が暮れていく。
リンリンリンリンリンリンリン……
虫の鳴き声がする。スズのような、細かやな音色。
気がつけば夏ももうじき終わろうとしていて、
こうして落ち着いて日暮れを過ごすことをしばらくしていなかったと振り返る。
夕暮れ時のしっくり感。
暮れていくのにあわせてほろほろと解けていく感じ、私は好きだ。 続きを読む
クートラスは”生”が好きだった。どんな醜悪な姿でも生きているものの姿が好きだった。
クートラスは愛情のある視線に見守られていることがいつも必要だった。
クートラスの描く天使は可愛い顔をしてハートを差し出しているエロスである。
優しくて子供のように純朴な、ちょっといたずらっ子っぽい表情で飛んでくる。
それで、油断していると、一瞬のうちに、とてつもなく大きな力に揺るがされ、夜よりも深くて暗いものが身体を包んでしまう。そんな神話の入り口みたいな接吻というのがあるものだ。……『ロベール・クートラスの思い出』より
静岡県長泉町、ベルナール・ビュフェ美術館にて会期中の企画展、
ロベール・クートラス 〜僕は小さな黄金の手を探す。
「僕のご先祖さま」の一枚と出会い、直感的に惹かれた相手。
出会って、対面し、彼と晩年を共にした岸さんの著書を読み、直感は計り知れない共感となりました。
彼の”生”へのこだわり。愛を求めて与えて、使い果たしていくような繊細さ。
残されたカルトやご先祖さまの肖像のなか、クートラスはいつまでも生き続けることができる”永遠性”の居場所を生み出せたのかもしれません。
こんなにも生きることにいのちを使えた彼が、たまらなくいとおしい。
「わたしは見た。」「それを見た。」
「見る」という行為それ自体は、どこまでも自由で、どの程度、どんな見方・受け止め方をしたとしても、誰に文句を言われる筋はないものだと思う。
自分が「見た」のであれば、見たことに変わりはないし、そこから何を感じたり、どんな印象を受け取ってももちろんいい。それこそ「見る」をはじめとした五感はどこまでも開かれたものであってほしいと思う。
けれど同時に、「見た」といってすぐに、一件落着したくないような気持ちになった。
*
目の前に一枚の絵画がある。
私たちは、いま目の前にあるこの絵を、どれだけ「見る」ことができているのだろうと、混み合った展覧会場の列に並びながらぼんやり考えた。 続きを読む
いよいよ今週末(あと2日!)で会期が終了する「ヘレン・シャルフベックー魂のまなざし」展について記しておこうと思う。
テーブルの上には、展覧会で思わず連れ帰った図録。シャルフベックのまなざしが、じーっとじーっと。こちらを見透かして、どこか遠くへと、その思いを投げ打っている。
ほんのわずか、顎先をキュッと尖らせて・・・
GW中に訪れた、茨城県陶芸美術館で開催中の『没後20年 ルーシー・リー展』について書きたい気持ちを募らせたまま、時間は経過。
彼女の生み出した作品から放たれている気高さであったり、彼女自身が持ち合わせている魅力について語るには知らないことが多すぎて、もう既に亡き人になってしまっているけれど、もっと手応えを持って彼女について知りたくなってしまった。
図録をじっくり眺める傍ら、ルーシーの人柄や生きていた時代背景、彼女を取り巻く人々や環境について理解が深まる一冊を読んだ。
画像:本書「Lucie Rie」より 続きを読む
台風が近づき一日中雨が降り続いていた。
*
新聞を購読していると、時折販売店さん主催で美術館チケットなどの抽選が行なわれる。
ラッキーなことに第一希望で応募したチューリッヒ美術館展のチケットに当選した。
ということで、雨の日曜日は再び、六本木・新国立美術館に行ってきた。 続きを読む
先日、六本木の国立新美術館へ行った。
開催中の「オルセー美術館展」をみた。マネやモネ、ルノワールやセザンヌの絵画が一挙に集結している。
本場フランスの、印象派の始まり。”マネ”の作品を軸に展示が始まり、展示が終わる。 続きを読む
蝉が鳴いている。今日鳴き始めた彼らは懸命に鳴き続け、子孫繁栄という使命を果たし7日後には死んで土に還る。
それまでどれほど長い間土の中でこの日を待っていたのかを、わたしは知らない。
スペインを初めて訪れたのは昨年の10月。新婚旅行という名目であり、最初で最後かもしれない赤褐色の乾いた大地と広大なオリーブ畑。
そんなことを思い返しながら、六本木・森アーツセンターギャラリーで開催中の「特別展 ガウディ × 井上雄彦 − シンクロする創造の源泉 − 」に行ってきた。 続きを読む