写真のこと」カテゴリーアーカイブ

「聴く」ことの力から生じたうねり。

鷲田清一さんの著書、『「聴く」ことの力 ー臨床哲学試論 』を読んだ。

内容についてはこの後、” なが・なが ”と続いていくとして、本書のなかで音楽のように、どこまででも広がっていくようで、ただそこにとどまり続けているだけのようにも感じられる写真家、植田正治さんの重低的な伴奏写真があることの心地よさ。

なくてもいいけど、あったほうがいいものは、本当に多い。

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モノローグの中で鷲田さんは「哲学はこれまでしゃべりすぎてきた……。」と書かれている。そして、「アカデミックな哲学というものに、漠然と感じてきた ” ひっかかり ” である。」と続く。

まことのことばを知るためにこそ、わたしたちは語ること以上に、聴くことを学ばねばならないということだろうか。くりかえして言えば、わたしがここで考えてみたいとおもうのは、この〈聴く〉ということの意味と力についてなのである。

このようにして、〈聴く〉とはどういうことか、「語る」でも「分析」するのではなく、「聴く」ことをするような哲学のあり方について考えてみたいというところを出発点に、じわじわと話は深まっていく。
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透明な眼差しの先にある「いつか見た風景」。

限りなく透明な眼差しを手に入れることができたとしたら、自分にもこんな写真が撮れたりするんだろうか?

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図書館でたまたま手に取った、北井一夫さんの「いつか見た風景」という一冊の写真集があまりにも面白く、食い入るように見入ってしまった。(相変わらず入ってばかりいるここ最近。出口が何処にあるのかなんて、知らぬ顔。)

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写真、光の描き出すもの

先日、あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)で行われた写真家・野町和嘉さんの講演会「聖地巡礼」に参加した。

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                                 画像引用:あーすぷらざ

はじめに脱線しておくと、「地球市民かながわプラザ」ってすっごく大それた施設名だなぁという驚きが少なかからずあったのは間違いない…。察するところ、それ位の視野を持って ”地球全体を俯瞰できるような市民を育てていきたい ”というような強い熱意のもとの命名なのでしょうか?

実際のところはわからないけれど、結構なインパクトがありました。
おおきな目でみたら、あらゆる枠組みや国籍も越えて、わたしもあなたも「地球市民」。
結構かっこいい理念かもしれない。
話を元のレールに戻します。講演会があることを見つけてきてくれたのは彼なのだけど、偶然にも「聖地巡礼」という写真展、2009年に東京都写真美術館で開催された時にひとり足を運んだことがあった。

不思議なことに巡り巡ってもう一度、野町さんの「聖地巡礼」と対峙することができたのだった。 続きを読む

新しい地図の描きかた

いま、急上昇的に気になる人。写真家の石川直樹さんについて書いていこうと思う。

昨年11月、荻窪6次元で行われたイベント「僕らの未開」に参加して、その存在を認識することになった。 参照:「僕らの未開 〜忘れられたことを知ること…」「民俗学者と写真。

最近巷ではやたらと石川さん旋風が巻き起こっているような、そんな様子がうかがえる。
「最近」というのは主観でしかなく、随分前から活躍されているところにたまたま、このタイミングになって自分が飛び入り参加しただけに過ぎないのだけど。

ワタリウム美術館「ここより北へ  石川直樹+奈良美智 展」と、横浜市民ギャラリーあざみ野で開催中の「石川直樹 New Map ー 世界を見に行く」に足を運んだ。

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                       《POLAR》2006年 タイプCプリント

「New Map ー世界を見に行く」ではアーティストトーク後編に参加。
彼のことばと写真を通して、旅の様子、身体の変化、地図ができる以前からその場所にあり続ける人や自然の姿を感じることができた。

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民俗学者と写真。

次回といいながら、一回間を挟んでしまいました。

前々回の「僕らの未開〜 忘れられたことを知ること…|紡ぎ、継ぐ」の続きを書こうと思います。

そもそも宮本常一ってどんなひと?

宮本常一さんは1907年山口県大島郡(現在の周防大島)生まれ。
生涯にわたって日本全国をフィールドワークし続け、膨大な記録を残した。
まさに「あるくみるきく」を身体で実践したひと。
詳しくはWiki先生を参照に…「宮本 常一


先祖と日本人 

このイベントを6次元という場所でセッティングをされたのは、僕らの未開の熊谷充紘さん。
はじめに畑中章宏さんに声がかかったらしい。 続きを読む

北へのあこがれ。—「北へ、北から」写真展より

久々によく晴れた週末。東海道線に乗って、静岡県の三島駅に降り立つ。

車内から穏やかに輝く海をみて、とても遠くまで来たような気持ちになった。

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クレマチスの丘に隣接された、IZU PHOTO MUSEUM にて開催中の小島一郎写真展「北へ、北から」が目的だった。 続きを読む

かぜたび舎から、森永純さんの写真集「W A V E All things Change 波 ーすべては発動し すべては循環する」が届いた。

今日は一日中、山と日本人のことを考えて文章にしようと試みていたけれど、もやもやするばかりでガクっと疲れてしまった。これ以上進もうとしてもむづかしそうだとおもった。

 

森永純さんという人を、わたしは「風の旅人」編集長の佐伯剛さんのサイトを通じて知った。

直感的に、手に取って目にしたいと思い購入した。そして今日届いた。

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                                                                                                                        ー  公式サイトより

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鳥肌は足下からやってくる

ついこの間。世界報道写真展に足を運んだ際(参照:流れる血は赤く、命はとてもあっけなくー世界報道写真展に行ってー)迷った挙げ句に見送ったコレクション展「スピリチュアル・ワールド」がやっぱり気になってしまい、最終日に来館してきた。

結果的に、行って良かった。

 

展示タイトルの時点で、選り好みが明確に分かれてきそうな。
「スピリチュアル」という言葉にはその位、良くも悪くも威力があるようにわたしは感じている。

最初からすぐに行こうと思えなかったのも、少しばかり構えてしまったからかもしれない。

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写真家 操上和美が見た世界

かなりタイムラグがありますが・・・
今回は2月1日に Eテレ『SWITCH 達×達』で放送された
写真家 操上 和美×映画監督 三池 崇史の対談について書いていこうと思います。

沢山映画を撮られている三池監督の存在は知っていましたが、操上さんという写真家は、今回番組を見て初めて知りました。 続きを読む