鷲田清一さんの著書、『「聴く」ことの力 ー臨床哲学試論 』を読んだ。
内容についてはこの後、” なが・なが ”と続いていくとして、本書のなかで音楽のように、どこまででも広がっていくようで、ただそこにとどまり続けているだけのようにも感じられる写真家、植田正治さんの重低的な伴奏写真があることの心地よさ。
なくてもいいけど、あったほうがいいものは、本当に多い。
モノローグの中で鷲田さんは「哲学はこれまでしゃべりすぎてきた……。」と書かれている。そして、「アカデミックな哲学というものに、漠然と感じてきた ” ひっかかり ” である。」と続く。
まことのことばを知るためにこそ、わたしたちは語ること以上に、聴くことを学ばねばならないということだろうか。くりかえして言えば、わたしがここで考えてみたいとおもうのは、この〈聴く〉ということの意味と力についてなのである。
このようにして、〈聴く〉とはどういうことか、「語る」でも「分析」するのではなく、「聴く」ことをするような哲学のあり方について考えてみたいというところを出発点に、じわじわと話は深まっていく。
続きを読む