最近とても魅力的なひとに出会った。魅力的な上に神秘的な。これはもう気になって仕方がない。
「惚れる」と聞くと、まずはじめに異性に対しての感情と思いがちかもしれないけれど、実際には同じ「惚れる」にもいくつかの意味がある。
ほ・れる [0] 【惚▼れる・恍▼れる・耄▼れる】
( 動ラ下一 ) [文] ラ下二 ほ・る
①ある異性がたまらなく好きになる。…に恋をする。 「おれはあのこに-・れちまったんだ」 「人ニ-・ルル/日葡」
②人柄や技能などのすぐれていることに心をひかれる。心酔する。 「社長は君の度胸のよさに-・れたのだ」
③他の動詞の下に付いて)ある一つのことをよいと感じて夢中になって,他を忘れるほどになる。心を奪われる。 「聞き-・れる」 「見-・れる」
④頭がぼんやりする。また,年をとって頭がぼける。耄碌(もうろく)する。 「いかなる事出で来む,と思ひ嘆きて,頰杖(つらづえ)をつきて-・れてゐたるを/落窪 1」
— 三省堂 大辞林より
わたしは初めてその人にあった時、すぐに興味を惹かれ、直に話がしてみたいと思った。
誤解を恐れずにいうと、一目惚れみたいなやつだ。
初めて人と出会うとき、更に初対面の人が複数人会するとき、大抵は感覚的に(無意識に)自分の触覚がどこに反応するか、皆一様に考えるのだと思う。
肩書きや職業、雰囲気や諸々・・・無意識にこの中で気になる人はあの人かな、この人かな、と。
仕事柄とか立場上といった理由で、そういった生の感情(意識で左右していない状態)は隠して自分でも気付かぬようにしてしまう人も多いかもしれないけれど。
その人はとても中性的で、一見すると小柄で線が細くわたしは迷いながらも、てっきり女性だと思い込んでその人に接していた。とても小さい頃にヴァイオリンを始めて二十数年、気付いたらそれが仕事になっていたと。ここ数年はヨーロッパのオーケストラに在籍し、2ヶ月間の夏休みを利用して今は日本に戻ってきているとのことだった。
見た目の(その人が持つ)イメージとヴァイオリンという楽器のイメージがあまり合致しなかったり、仕草が男の子のようだったり、本当に惑わされてしまって余計に興味が涌いた。
まさに ”魅力的なひと” そのものという感じ。
後々その人は名前からすると男性だよ。と聞いた時にものすごく驚いてしまってどうしたものかと随分、より深いところまで混迷してしまい、未だにこうして心を奪われた状態が続いている。
純粋に始めに抱いた印象がまるっきり違うとなっても、その印象は簡単にはぬぐい去れない。
その人は(たぶん)男性なのかもしれないけれど、もしかしたら名前(漢字)が男性っぽいだけで響きはどちらにもとれるからやっぱり女性かもしれないし、どちらにしても惹き付けられるという意味では変わらない。そのあとに続く意味合いが多少違ってくるだけで。
1. 女性であるわたしが、同じ女性であるAさんに興味を惹かれ、もっと仲良くなりたいと思いました。
2. 女性であるわたしが、男性であるAさんに興味を惹かれ、もっと仲良くなりたいと思いました。
せっかくすごく素敵で興味を惹かれ、仲良くなりたいと思った人に出会えても、同性であれば純粋に一歩先の交流を求められるのが、異性になるとそう簡単に求められない。感情の出所は同じ筈なのに、ちょっとだけ(人によっては大きく)意味合いが変わってしまう気もする。これはすごく不条理なことに感じた。
でも実際には不条理でもなんでもなく男と女という決定的な対称(陰陽)である以上簡単でないことは受け入れなくちゃならないのかもしれない。そして、仮に長く付き合いを継続させていきたいのであれば、同性間以上に神経を使って、バランスを保ちながら互いが交わることのないように上手く平行していく必要があるんだろう。
何の道、すべてはわたしの頭の中で一方的に巻き起こしている事象にすぎない。
そして魅力について考えていった時に(現時点で)思い至ったところは大雑把に分けると「魅力」にも二通りあって、効果的に(自分の魅力をよく理解して)相手を選んで意識的に放っている場合と、無意識に溢れてしまっている場合。
同じ「魅力」でもそれは全く別物の「魅力」だ。
それを最大限コントロールしたり活用できたら(スキ、嫌いは別として)すごいと思う。と同時に、無意識に溢れてしまう方の魅力は怖いもの知らずだ。
最後に。
周りからしてみたら、なぜ彼、彼女はあんな人に、あんな事に夢中になっているのだろう。と思うことは本当によくあることでしょう。
自分自身ですら後になって、どうしてあの時あれ程心奪われていたのだろう?と。
時に人の感情は自分自身の想像を大きく上回って様変わりを果たします。
感覚、感性、好みなんて曖昧なものはそれの積み重ねでしかないのかもしれません。
様々な混沌に巻き込まれながら、何が魅力的で、どこに向かっていくのか。
中性的というのは今の掴み所のない ”イメージの時代” にとても合っていて、それでいてどちらにも寄ることがなく際立っていて・・・いいなぁと思いました。
男でも女でもなく。人間としての存在感を際立たせていくというのは、いまの自分に必要なヒントであるような気がします。(だからこれ程魅了されてしまったのかもしれません)
どちらにしても当日が楽しみです。
それではこの辺で。
中條 美咲