先週末、「アナと雪の女王」をレイトショーで観てからというもの、「雪だるまつくろう」という劇中歌に頭の中を占拠されています。
自分でもちょっとびっくりなのですが、予想を大きく上回りとても面白く、後を引く作品でした。
はじめのうちは観るつもりもなく、特に意識していなかったのですが、世の中の反響が圧倒的ということであれば気になってしまうのが人間の性。
子どもの頃はジブリに並ぶくらい、(もしかしたらジブリ作品以上に)繰り返し何度も8ミリテープを再生してきたディズニー映画。成長すると共におとぎ話だけでは世の中生きていかれないよ。とでも気付いたのか、なんとなく、ディズニー映画からは距離を置くようになっていました。
正直ディズニーは子どもが夢を見るような感覚で楽しむエンターテイメントだと思っていたのですが大間違いでした。この映画はもう子どもではない、人たちの心に響く作品だと強く感じました。
アカデミー賞を競り合った「風立ちぬ」は大人の映画だと思います。それに比べると「アナと雪の女王」は子どもではないけれど、大人といわれるとちょっと・・・という層(年齢ではなく、今の時代にはこの層が圧倒的に多いようにも感じます)に一番届くのではないかと。
これほどの反響を呼ぶ作品であれば、作品についてのレビュー等は溢れんばかりかと思うので、私が映画の中で一番印象に残るアナが歌う「雪だるまつくろう」という曲を中心に沿えて書いていこうと思います。(映画の内容にも触れています)
「雪だるまつくろう」についてはむしろ書く必要がない程、わずか4分足らずの曲の中で全てが語られているように思いました。この映画の奥深さは物語りの前半、そして劇中歌にほぼ凝縮されています。
姉妹でありながら、物心がついた頃には姉 エルサは部屋に閉じ籠もりきりで、妹のアナはいつも一人で遊んでいます。冬になると”雪だるまを一緒につくろう”とエルサに呼びかけます。
アナは当時の記憶を覚えてはいませんが、エルサにとって、雪だるまをつくる(その記憶)というのはトラウマの原因であり、呼びかけられる度に恐れや悲しみ全てが蘇ります。
そんなことは何一つ知らずに懸命に呼びかけ続けるアナ。無知であることほど残酷なことはないのかもしれませんが、だからこそ、エルサの心はもちろんのこと観ている私たちの心まで動かす事が出来るのだろうなと。
その後の馬に乗ってエルサを迎えにいく場面なども(…今までなら王子様が行く筈では?)などと頭をよぎるのですが、アナが行く事に意味があり、彼女だったからこそ、こんなに面白い物語りになったんだろうと思いました。
彼女たちふたりは、誰でもなく自分たちの力(想い)で問題解決をし、起こしてしまった事態の後始末をし立派に国を建て直したのです。
もう王子様が迎えに来てくれる、守ってくれる時代はとうに過ぎ去ったのだなあと。
ディズニー90周年と共に試練を自らの力で乗り越えていく女性たちの新時代の幕開けになりそうですね。
最後に。
映画の映像美やストーリー、音楽はもちろんなのですが、今回陰の立役者であった日本語版吹き替えの声優をされた神田沙也加さん・松たかこさん・ピエール瀧さん…
本当にすばらしかったです!
神田さんについては自分の中で元々抱いていたイメージが一掃されました。多くのものを背負い、こんなに大きな舞台で大成功を成し遂げてしまった彼女は今後どのように変貌していくのか。とても楽しみです。
松さん・・・演技だけでなく、歌もあんなにお上手だとは。エルサの内面は松さんの演技があってより陰影が深まったのでしょう。英語版のLet it goも聴きましたが松さんの歌ほどの力強さは感じられませんでした。
ピエール瀧さん、とってもチャーミングでぴったりな役柄でした。
今わたしは25歳という若者とも言い切れず、大人とも言いがたい”妙齢”に差し掛かり、自分にとって好きなものや苦手なもの、得意・不得意は把握しているつもりになっていました。
そういった思い込みを取っ払い、食わず嫌いをせずに、まずは触れてみる。本当にこれに尽きますね。
まだしばらくは頭の中はアナとエルサの歌声に占拠される日々が続きそうです。
もう一度、映画館に足を運んでしまうかもしれません…笑
それではこの辺で。
中條 美咲