小さな世界がこれからのカタチ。

極端な話、徹底した世界観を追求したいのであれば、自ら小さなコミューンのような町を作り出したほうがいいのではないか。

千葉県にある、某巨大ワンダーランドの話からそんなことが浮かんできた。

 

先日職場で話をしていて、話は地方の(少しばかり的を外した)活性化について及んだ。

アニメが流行っているから「〜ストリート」にしてみたり、ゆるキャラブームに乗るようにあちらこちらでゆるキャラ合戦。最近話題になった女子高生を活用したJK課のようなものもそれに当てはまるのかもしれない。

それが悪いわけではないけれど、長い目で見たときにそれで本当に活性化されるのか。

とりあえずは早急に、ここ1・2年での変化や回復が欲しいのか。

 

きっといろいろな事情があって、予算もあって、その方向で行くことを決定したのだろう。

ただ、何をするにも二番煎じでは最初に煎じたものには叶わない。とある人は言った。

 

彼が地元に帰った際、子供の頃は一面田んぼの景色だった場所に、ボコボコと好き勝手な方向に家や店が乱立し始めていて、とても綺麗とは言えない景色になっていたようで、心底がっかりしたそうだ。一面田んぼだった頃の方がよっぽど美しかったと。

ヨーロッパの町並みなどと比べてしまうこと自体が大人と子供のような差で、歴史の古さも文化も違いすぎるのかもしれないけれど、どうして日本は(日本に限らずかもしれないけれど)そのような美意識になれないのだろうと、少しばかり落胆されていた。

 

そもそも日本では、ヨーロッパのような、町全体として外観を統一するような価値観はなかったのか。かつて城下町だった場所の一部にはそれでも当時の町並みが部分的に残っていたりもする。火事や地震が多いことから、全体構成をしても、それがあっけなく崩れてしまうので統一することを諦め、今のようにある意味好き勝手な町並みになってしまったのか、その辺りは歴史の勉強をしないと見えてこないなあと思いながら、いつもながらに答えの出ないままその話は終わった。

 

話は最初に戻り、何故そうした場合に小さな世界(コミューン)の方がいいのかについて少しばかり考えてみる。(以下は私の個人的な見解です)

今、活性している・勢いのある町は往々にしてそこにある”もの・こと”を”集まる人々”それぞれが好きで楽しくて、その環境に通ったり住んだりすることが多いのだろう。もしくはその場所に住み始めたことをきっかけにそこが居心地よく、知らぬ間にその周辺のカルチャーに影響を受けるということも多いのかもしれません。

それは殆どの場合、始めた人やきっかけはあるにしても自然発生的という意味では共通しているように思います。例えば東京でいえば「秋葉原」「原宿」「神保町」「下北沢」のような場所でしょうか。「神楽坂」「谷中」「高田馬場」「中野」などもそんな雰囲気から人が集まる場所になっている気がします。

実際に住んだことがある町を除けば実際の景色は見えにくいので、上に挙げた場所もあくまでもそのようなイメージが定着しているというだけかもしれませんが。

東京以外でも、”場所”の根底にその土地やそこに集う人から生まれた”文化”さえ存在すれば、その文化を武器にして他の余分な要素を削っていっても、そこに魅力を感じる人が少しづつでも匂いを嗅ぎ付けて集まってくるのではないか。現に、いま流行っている場所や町にはそのような文化が残っている・新たに生まれているから自然と流行ってしまうのではないか。

 

そんなことを、しばし考えてみました。

コミューンと聞くと、変な宗教団体だったり、余計な想像が膨らんでしまいそうになりますが、最小単位の地方自治体という意味では、今後この”コミューン”が重要なポイントになればいいなと。各地で自然発生的にそれぞれの文化が生まれてくれば、町並みなども徐々に徐々にそのコミューンごとに特色がでて、統一感が生まれるのではないかなあと。楽観的には(諸々の地方財政などの事情を考えず)そんなイメージを膨らませつつ…

ただ、その文化が町並みに反映されるのか・・・についてはやはり「?」です。

統一感のある町並みを生み出す為には、莫大な予算がかかりますし、今すでに土地を持っている方達の説得やら、建物の高さ制限やら、考え出したらキリがない程、諸々の大人の事情が絡んでくることでしょう。派手で大きな看板統制などもしたいですし。笑

しかも100人の町人が100人納得のいく町並みって・・・。

 

現在進行形で、東日本大震災で町ごと0から立て直すことになってしまった東北各地の方々はそのような町づくりに奮闘されているのでしょう。

 

最後に。

どちらにせよ、なにかひとつ起点となるポイントを設けること。

昔で言えばまさに「お城」であったり、西洋で言えば「教会」のような場所でしょうか。

そこを中心に物事を決めていく。

ただ、中心以外についてはよそで流行っているからといって、安易にそのような要素を取り入れず、徹底的にその土地の中に脈々と受け継がれている産業や産物を生かし、見せる方法を考える。

個人的にはどこへいっても同じような複合施設がこれ以上増えても・・・と思ってしまうので。

時間がかかるかもしれませんが、地道にそのような考え方のもと、その土地と向き合ってみたら、日本各地に面白いコミューンが生まれてくるんじゃないかなと思いました。

何しろ日本には地方によって多様な気候や自然、文化が古くから残っているのですから。

それではこの辺で。

中條 美咲