ものがたりは自ずと立ち上がりました。
ポーンと、投げられたボールを、ひとまず全力で受け取ったということでしょう。
ボールは、気球のように。
もくもくもくもく、膨らみました。
もくもくもくもく膨らんで、
まさか気球になるなんて。
じーっと、風を追い、気流を掴むように。
胞子のように、旅してみたい。
季節は夏を終え、土から秋へ。
秋は実り、深まりの一歩。
ひたひたの水分は干上がるように、乾き、かたまり、かたちを現す。
虫の鳴き声は、いまも昔も変わらずに。
もう、秋ですね。
もう、秋ですよ。
中條 美咲