手から手へ。

とてもあたたかな場所を訪ねた。

どっしりとした風格にやわらかな安定感。

いかにもといった主張を感じることもなく、腰を下せば

ただただ穏やかにくつろげる。

 

安心と安定と、しずかな味わいのある、とてもあたたかな場所だった。

 

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残す意味や残す価値、残さなければといった使命感など、長い年月をかけて守られてきたものを残していくためには様々な思いが交差する。

存在そのものを残していくことはもちろん大事なこととして、ただ保管されればよいかといえば、損なわれてしまうその場所がもつ、味わいや佇まい、安心感というものもあるだろう。

 

わたしやあなた、ひとりの手のひらで守れるものはほんの一握り。

両手を受け皿にしたってこぼれ落ちてしまうようなたくさんの思い出もつまってる。

 

手から手へ、

伝えていくことの大切さやその重み、佇まいを含めて守っていくことのむずかしさ。

人が営みを続けていくうえで守るべきものは、かたちあるものの中につまっている、様々な記憶や想いのほうかもしれないなぁと、そんなことを漠然と考えた。

 

こうした場所に連れ立ってくれた人、やさしく迎え入れてくれた人。

人のもつあたたかさを感じるばかりのこの頃です。

 

それではこの辺で。

中條 美咲