たまたまテレビをつけたところ、いま中国で「知日」というシリーズの雑誌が人気を生んでいる。というニュースが流れてきた。
気になったのでボリュームを上げて、食事の準備を中断して耳と目を傾けた。
これはとてもいい流れを生むだろうという期待を寄せて。
そこまで現実的ではないといわれてしまうかもしれないけれど、” 知日 ”ブームの人気が高まることに希望を持って、さらさらっと個人的な観測を書いてみようと思う。
” 知日 ”とは、日本を知るために中国で発行されている雑誌。2011年1月に創刊されて4年目になるそう。この並びだけ眺めてみても、本家を凌ぐ勢いで先を行く特集に驚いた。
本の内容はこんな風に紹介されている。
” 中国で大ヒット中の「日本好き!」雑誌、ついに日本上陸!
親日でも反日でもなく、『知日』!!!
『知日』は、2011年1月に北京で創刊された、
日本文化やライフスタイルを紹介する月刊誌。
毎号テーマを絞り、日本のありのままの姿を紹介する。
これまでに取り上げてきたのは、「制服」「森ガール」
「明治維新」「暴走族」「妖怪」「鉄道」「断捨離」「禅」
「犬」「日本食」「手帳」「礼儀」など、日本人も
びっくりの計24タイトル(2014年12月現在)中でも『猫』は10万部、『漫画』はなんと50万部を
突破するなど、日中関係が冷え込むなかで、
メディアをはじめとして日中両国で大きな話題を呼んできた。
そんな『知日』のすべてがわかるダイジェスト版が、ついに日本初上陸!内田樹氏や莫言氏(ノーベル文学賞作家)など、特別寄稿も掲載!
「え? 日本のこんなところに興味があるの?」
そんなズレと新発見を楽しみたい ―― 内田樹 ”ー『知日』潮出販社
テレビでインタビューに答えていたのは、主に同世代の、1980年代以降に生まれた人たちだった。日本では、その頃をピークにバブルは崩壊し、80年代以降に生まれた多くの若者たちは、景気の良い時代を知らずに成長してきた。
一方、中国では80年代以降加速度的に経済成長が続いてきたようで、同じ80年代生まれの彼・彼女らは、消費を謳歌する世代となっているらしい。
消費に意欲を燃やすどころか、モノを持たない・買わない・欲しいと思わない方向へ向かい続けている(とされる)日本の若者とはこんなに近くにあって、まるで非対称の状況なのだろう。
そんな彼らが今、興味を寄せるのが「日本」なんだとか。
生まれた時からすでに日本の製品やアニメなどが身近にあり、自然とこの国に関心を持つことになったとか。創刊された当初は日中関係が大きく冷え込み、それ以降日本国内ではあまり良いとされるニュースを耳にする機会は少ないように感じるけれど、「それ(国同士の間柄)とこれ(自分たちの純粋な興味)は別。」と語る彼ら。
もちろんみんながみんなそうではないと思う。
人口1億人の島だって民意がまとまることはないし、(ひとつにまとまってしまうことほど盲目なことはない)10億人いればこちらでは少数でもあちらでは圧倒的な「大多数」になる。
インターネットがここまで普及して、「知ろう」とさえすれば世界は目の前に開けていてつながっている。
そうなった時に自分たちの間にある亀裂は亀裂としても、どうしてそこまで深いのか痛ましいのか、悩ましいのか…現実には実感もなければ、ほとんど知らなくてわからないことばかり。
わからない・知らないということは無知だというけれど、それはひょっとすると希望にもなり得る。
純粋に「どうして?なぜ?知りたい。」と思えるようになるから。
今までは情報も教育も与えられるものだったけれど、今では随分変わりつつある。
「情報」と一括りにいってしまうと、ごちゃ混ぜになってしまうばかりで胃の中がむかむかして、溢れ返って埋めきあうばかりだけど、覚悟を凝らして向き合っていけば、間違ったもの、偏ったもの、心の込もったもの、臭うもの、透き通っているもの・・・・。
情報も教育も「知ろう」とさえすれば、自分で選んで口に入れて噛んでみて、失敗したり吐き出したりしながら選べるようになった。無秩序ではありつつも、自分なりに学びを深めていくことがとても手軽に実現できるのが今なんだろう。
そういった意味では国は違うけれど、中国の若者も、日本の若者も同じ境遇・ベースにあって、文化的に想像しているほど、大きな違いはないのかもしれない。
そして幸運なことに、彼らの純粋な関心は今、日本に向かっている。
その気持ちを、どんな風に受け止めていくのか。気になりつつ、自分からも進んでお隣さんのことを知っていく努力をしたいと思いました。
わたしの知っている中国出身の学生さんと韓国出身の少し年上の女性は二人とも、素直でまっすぐで聡明で、共感できる部分も多く、とてもチャーミングな存在です。
それではこの辺で。
中條 美咲