風を切って歩く

吹く風が冷たくなった。
とうとう実家のあたりでも雪が舞ったそうだ。

それに比べればなんのその。

たくさん着込んで首回りを冷やさない様に、寒さと付き合っていく。慣れると風邪にも強くなる。
寒さも暑さも自然のままが心地いい。
布団に包まれたあたたかさに唯一勝るものは人のぬくもり。

朝起きて体温でほかほかの布団から抜け出すことは一番の試練・・・。

昔から変わることなくめっぽう朝が弱い。低血圧というのは単に良い訳でしかないかもしれない。

頭まで布団に包まって泥のように深い眠りが得意技。
眠れなくて悩む人が大勢いるこのご時世に、眠りが深過ぎることで悩むのは幸せなこと。

私は歩くのが早いとよく言われる。以前務めていた職場では、「風を切って歩くなー!」とよく注意をされた。

今となっては、風を切って歩くことが気持ちよくてたまらない。
歩くことだけに意識を集中して、なるべく風の抵抗を受けないようにすり抜けるように歩く。呼吸は深く整える。

はじめは駅まで急いでいる時などに行なっていたことが、風を切りながら風に乗って歩く方がずーっと気持ちいいことに気付き、いつしかそうして歩くことが癖になってしまった。

ゆっくり散策しながらのまち歩きも楽しいけれど、ひとりで通い慣れた道をなんとなく歩くのであれば是非一度試してほしい。

寒くなったこの時期は、このわずかな一歩きでからだもじんわりあったまる。

歩き方・立ち方ひとつ。
前のめりにすっと足を出して歩いていく海ちゃんの後ろ姿で、コクリコ坂の映画は一気に方向性が定まった。その映像が映画本編よりも印象深く焼き付いている。

それではこの辺で。

中條 美咲