とてもあたたかな日が差し込んでくる一日だった。
さっぱりとした装いで外に出る。夕食は栗ごはんにしようかな・・
外は思いのほか涼しく感じられた。
透き通るようにすっきりとした涼しさだ。
風を切って自転車を走らせる。
裸の首元は風の冷たさに驚いて、思わず首をすくめることになる。
そろそろ巻き物が恋しい季節になりました。
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” 生きるために食べる。食べるためにつくる。”
映画『little forest リトル・フォレスト』はほんとうにそれの連続だった。
生きることすなわち、食べるためにつくり、学んでいくこと。なにも代わり映えがないと思っているうちは、なにも見えていないという証。
せっかく恵まれた環境で育ったとしても、わたしの目は節穴だらけだったということがこの作品をみて、証明されてしまった。
原作が五十嵐大介さんだったというのも驚き。
五十嵐さんの「海獣の子供」は引き込まれてしまってとても印象深い作品だった。
ジャック・マイヨールの世界観にも近いかもしれない・・
「身体がことばを超えていく|紡ぎ、継ぐ」
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わたしは甘酒が大好きで、ひな祭りの時期になると必ず飲みたくなってしまう。
映画の中で麹のつぶつぶは巾着で濾して、夏の暑い日に冷やして飲んでいたけれど、
わたしが飲んできた冬の日の母の甘酒は、濾さずにたっぷりのつぶつぶが入ったものだった。
お店で売っているものとは全く別物で、友だちの多くはそんな甘酒を珍しがって、味もなかなかクセがあるらしかった。
映画の中のウスターソースの衝撃と似ている。
季節の実りを分け合いながら、美味しく頂く。四季が豊かなこの風土ならではの贅沢。
一年中どこでも手に入るものへの有り難さは日に日に薄れてしまうけれど、年にある期間しかお目にかかれないものへの恋しさは高まるばかりだ。
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少しずつ空気が透き通って、もうすぐ冬になる。
今回は” 夏・秋編 ”だったけれど、さらに深まっていくであろう” 冬・春編 ”もとても楽しみ。
食べることから丁寧に。基本のようで、一番むづかしい。
それではこの辺で。
中條 美咲