台風が去っていきました。
そうして、足もとにはたくさんの落とし物が・・・!
いろんなところで、少しずつ、秋色を発見する今日このごろです。
糸井さんと、早野龍五さんの「知ろうとすること。」を読み終わりました。
とても大事なことを(今更ながら)教えてもらえたので、そんなことを少し書いてみようかと。。
「知ろうとすること。」
とてもいいタイトル。もうすでに、このタイトルと、この写真が表紙の本が出る。と知った時点でとっても楽しみで待ち遠しかった。
冒頭にはこう書かれている。
2011年の東日本大震災のあと、コピーライターの糸井重里は
物理学者の早野龍五とツイッターを通じて知り合った。
福島第一原子力発電所の事故から3年を経て、あらためて現状を語り合う。
こう書かれているけれど、内容はとっても穏やかで、親しみやすい。
深刻になりがちな話題なだけに、身構えてしまいそうだけれど。むしろそういう人にこそオススメしたい一冊。
「科学」と聞いただけでも、けっこう身構えてしまい。放射能とか、原発とか、ベクレルとかミリシーベルトとか内部被ばくとか・・・・・
あのとき大半の。科学から(とっても)遠いところで過ごしていた人たちは、そんな言葉が突然飛び交う世の中になってしまったことに、ほんとうにびっくりして不安になってしまったんだろうなと、自分のことを振り返りつつ思い出す。
自分の知らない(苦手な)世界のことばを、その世界の専門用語で、当たり前の常識として、ずんずん話が進んでいくという記憶。置いてけぼりになってしまい取り残されるうちに不安ばかりが大きく膨らんでいった。
大きく膨らんだ「不安」という気持ちはとても厄介で、そのままにしておくと不安が不安を取り込んで更にもっと大きく成長してしまう。
そうなると元の状態。フラットで「不安」でない状態に自分だけの力で戻るのは殆ど不可能だったりする。
だから「不安」はそのままにしておかずに、できるだけ小さいうちに、その「不安」の元になる「知らない」や「わからない」をなるべくであればどっしりと落ち着いて、フラットな状態でわかりやすく紐解いてくれる人。そっちとこっちの世界を股にかけてくれる人がぜったいに不可欠なんだとこの本を読みながらつくづく感じた。
わたしは残念ながら、強烈な「不安」が渦巻いて膨れ上がった2011年3月の時点では、早野龍五さんの存在にすら気づくことが出来なかった。
今回このタイミングでようやく。
あの状況下で、あくまでも目の前の現実を一つずつ丁寧に紐解きながら発信されている人がいたんだなーと知ったのでした。
もう少し早く「知ろうとできればよかったなぁ」という気持ちもありつつ、こうして少し穏やかになったからようやく「知ろう」とすることに近づけたのかもしれないなぁ。とも思った。
5章 ベビースキャンと科学の話 は特にお気に入り。
科学的には必要がないけれど、不安を解消してもらうためのコミュニケーションツールとしてきちんとデザインされたベビースキャンが必要だった。という話とそこから飛躍的に広がっていく「カリウム40とは」と「138億年前の話」。
このあたりは糸井さんが仰るように本当に「壮大すぎて、涙が出そう。」な場面。
あんなに苦手と思い込んでいた「科学」の世界が一気に身近に、親しみやすく、大事な役割として感じることができた。
そしてここで話されていることのひとつひとつが大袈裟じゃなくて一歩、一歩。という感じでとても安心できる。
「不安」から「安心」を取り戻すためには、「知ろうとすること」がいちばんの解消の糸口になるんだろう。
この本を読んでみてそんな風に思えた。
対談形式なのでさくさくっと読めてしまいます。
まずはそれぞれが「知ろうとすること。」から・・・
それではこの辺で。
中條 美咲