「伝えたい」の原点にはなにがある?

最近、「自己顕示欲」と「伝えたい」という願望について。しばしば考えている。

 

「自己顕示欲」・・・諸説あるけれど、簡単にいうと自分自身の存在を知ってもらいたい。とか、持っている力を見せて示したい。とか、他者から注目を浴びたい。という欲求のことをいうらしい。

 

FacebookやTwitter、ブログなどを通じて、ソーシャルの中でそれを実行することはとても容易い世の中となった。この場所も然り。

大なり小なり、誰しもが持ち合わせている感情のひとつ。表にわかりやすく出しているか、わからないように隠しているか。もしくはもっと無意識なものに包まれた状態のまま、フタを開けずにしまってあるか。そんなうちのいずれかだとわたしは思う。

どちらにしても人類(ヒト)が持ち合わせているとても自然でわかりやすい感情・欲求のひとつなんじゃないかなと。
ヒトに限らず、チンパンジーやオラウータン。犬や猫、鳥やカエルだって多少なりとも持ち合わせているのかもしれない。(縄張り意識とか、鳴き声の示し合いとか?・・・。それが自己顕示欲なのかどうかはよくわからないけれど。)

「自己顕示欲」は批判的な意味として使われることの方が多いらしい。実際に意味を調べてみても、あまりいい印象を受けない。

じゃあそれって悪いこと・恥ずかしいことなの?と考えてみると、一概にそうとも思えずに、「うーん。」と首を傾げたくなってしまう。

 

それはそれとして、じゃあ「伝えたい」っていう気持ちや想いの出所はどこなんだろう?と考えている。

三省堂の大辞林には「伝える」について、こんな風に記されている。

つた・える つたへる [0] 【伝える】
( 動ア下一 ) [文] ハ下二 つた・ふ
〔下二段動詞「伝(つ)つ」に接尾語「ふ」の付いた語〕
①(情報や,人の言葉などを)他の人に知らせる。伝達する。 「こちらの希望は文書で先方に-・えてある」 「御両親にもよろしくお-・え下さい」 「会って私の本当の気持ちを-・えたい」
②語り継ぐ。 「湖の主と-・える」
③文化や価値ある物などを)離れた場所や後世の人に受け渡す。 「キリスト教を日本に-・えた人」 「村の伝統工芸を後の世に-・える」 「家宝を子孫に-・える」
④ある物理作用が離れた所に届くように仲だちをする。 「銅は電気や熱を-・えやすい」
⑤伝授する。 「きんぢ,この手を-・へ施すものならば/宇津保 吹上・上」 〔「伝う」に対する他動詞〕

私は以前から、「伝える」ということに興味があって、大切にしたいと思っている。

それはこちらから発する場合も、向こうから受けとる場合も。

「伝える」、もっというと「伝えたい」の奥にはたくさんのいろんな想いが詰まっていると思うから、出来るだけ無駄にしたくはないと一生懸命にキャッチボールしたいと思う。

 

でもそれ(伝えたい)の原点が、自己顕示欲なんだよと言われたら、それは少しさみしい気がする。
その中にあるのは「自分」であって、「相手」ではないような気がするから。

 

じゃあ自己顕示欲は「自分」が中心でその中に伝えたい「想い」はないの?そこに「相手」は見えていないの?というとたぶんそうでもないんじゃないかとも思う。

ただ少しばかりバランスがわるかったり、不格好だったりするだけで。全部が全部「自分」っていうわけでも無いんだろうなぁと。

 

そんなことを考えていると、さらに頭はこんがらがってくる。

きっと、そういった様々な自己顕示欲だったり、伝えたい想い、風化させたくない記憶だったりがあったおかげで、今がある。

昔も今もいろんなヒトがいて、正義や悪をバリバリと主張していたり、使命感に駆り立てられて文献を残していたり、ただ何となく日々を綴っていたり、語り継いでいたり。。

 

その延長線に今の進化したネットワークがあって、一見ものすごく変化したように感じるけれど、意外とフタを開けてみれば今も昔もどこの何が美味しいとか、誰がかっこいいとか、誰の考え方が好きだ嫌いだと、中身はほとんど同じなのかもわからない。
参照:千年続く『枕草子』はたった一人に向けて綴られた物語だった|紡ぎ、継ぐ

そんな中から自分のお気に入りを見つけて、当時のヒトもこんなことを考えていたんだなぁと学んだり共感できるのはとても豊かな財産になる。

 

最初は小さな自己顕示欲だったのが、いろいろなヒトの目に触れ反響し合うことによって、そのかたちも少しづつ変化していくかもしれないし。

なのでいろんな考え方があるけれど、そう思ったら少しばかり気持ちが軽くなった。

 

届けたいひとに届くのがいちばんいいなぁ。

そのためには、どうしたらいいんだろう?と考えながら。わたしはこれからも、小さいながらの自己顕示欲と「伝えたい」をうまくミックスして発し続けようとおもう。

 

それではこの辺で。

中條 美咲