見終わってすぐに、ことばにする。していいものか。
わからない。
・・・沈黙。
言葉を頼りにせずに、つたわる方法はないかと考える。別に伝わらなくてもいいのんか。きもちをほどいて理路整然とせずに、なにかを紡ぎたいと思う。(例えば 記憶 や 記録 。)
波のおとが忘れられない。
いきているうみ。いのちの源。
海はいきている。海は、たくさんの死をうちがわに抱え込んでいる。
うみの水。塩分を含んでいてしょっぱくて、からい。
いきている は、ひりひりしてしょっぱくて、目に入るとしみて
大きすぎて、始めはこわい。
母なる海。ははなる生み。 ハハナル ウミ・・・
ひとは死ぬ。だれでも。山羊が死んだ。一匹の山羊が
母も死んだ。とてもしあわせそうに死んでいった。
「おかあさんは 神さまとにんげんの間にいるからね
こわくないよ いのちはずーっとつながってるの」
杏子はおかあさんのひざ枕で400年生きているガジュマルを眺め、
おかあさんはおとうさんのひざ枕に続き、おとうさんは、ふたりともいいなーってやさしくおかあさんを支えてる。
おかあさんの死にゆく顔が忘れられない。
「いきゅんにゃかな」という奄美の島唄。
杏子の唄声、死を受け入れ、界人は、母を守っていくと
そこにあったのは覚悟。ほんとうにきれいだった。
生まれて死んでいくことはひとつの巡り。いのちはずーっとつづいていく。
目に見えなくても、ことばにしなくても、ちゃんとわかる。
ハハナルウミ 大きくて底知れなくてあたたかくて・・・
2つ目の窓は、内側から開かれる。窓はいつだってそう。
2つ目の窓が開かれたら、もう大丈夫。
わたしもいつか、あんな風に大きな木の見える家で死んでゆきたい。
それではこの辺で。
中條 美咲