彼女は魔法の輪の外側の人間といっていた。
それから魔法のわのことを考えてみた。
他の誰かにとっては魔法でもなんでもないんだとおもう。
わたしはいま、ちいさいけれどとてもあたたかい魔法の”わ”の中にいる。
この” わ ”さえ守ることが出来ればきっと、この世に君臨するおおきなおおきな魔法の輪からはじかれたってへっちゃらとさえ思っている。
そのくらい、いまのわたしを包んでくれる小さくてあたたかい魔法のわの存在と効果は絶大。
ときおり考える。もし、この”わ”からはじき出されたとき、自分はどうなってしまうだろう?と。
ほんとうは皆、そうやってちいさな魔法のわの中で大切に生まれてきたんじゃないかと思う。
大きくなるにつれて、信じることよりも、疑うことを身につけてしまうのは、ずーっと奥底のじぶんを守るための防衛手段。
疑うことや怒りを覚えなかった今わたしを包んでくれている”わ”の持ち主は、ほんとうに強い人だと思う。
大切にすることと、信じることを学んだわたしは、これからそれを少しづつ、他のみんなに教えてあげられたらいいなと思う。
君臨する大きな輪じゃなくて、みんながそれぞれ大切にしている小さな”わ”を、互いに見せ合って、助け合って。そうして小さな”わ”が重なりあったら、もうはじかれたかどうかすらわかんなくなっちゃう。
そうしてわたしはまじないに小さな指輪をもう片方の指先にはめた。いつか願いが叶いますように。
それではこの辺で。
中條 美咲