苔とお庭と、雨とお経。

ひと月などあっという間に過ぎてしまいます。

自らへの課題。そんな大したものではないのですが、言ったことをそのままにしてしまうのはやっぱり気持ちがいいものではありません。

東寺・広隆寺の続きを書こうと思います。

写真は京都2日目の午後。通称:苔寺で有名な西芳寺というお寺です。

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※実際にはこれ程鮮やかではありません。写真は雨が降ったらという想像で少し色鮮やかに加工をしています。

 

嵐山の近く。随分山奥に潜んだ場所にとても広大な山を背に西芳寺があります。

古くから人気のお寺だったようで、現在では往復ハガキによる事前予約なしにはこのお寺の門をくぐることは出来ません。般若心経の写経と読経を行うというちょっとした修行スタイルで拝観料は一人三千円から。

訪れるまでは、どれほどの限られた空間で、凛とした空気のもと、写経やお庭の拝観が出来るのだろうと期待の方が圧倒的に上回っていました。

なので団体のご一行様で埋め尽くされるくらい大勢(おおよそ200人くらいでしょうか?)の人になり、厳粛な空気というよりは日々のイベントと化しているような、その雰囲気には正直なところ違和感のような、ちょっとしたモヤモヤ感を抱いてしまったことは否めません。

 

そう思いつつも、はじめての写経体験や、写経後一同で住職にあわせて読経したときのなんとも表現しがたい一体感などは期待以上のもので、とても印象深く残っています。

これも最近になり感じ始めたことですが、”声に出して”ものを読む行為(朗読)というのは、それだけで凄く効果があるのだろうということ。一気にエネルギーが生み出されるというか、昇華されるスピード感が違うという・・か。

なので写経も読経もとても面白かったです。面白いというのは不謹慎?かもしれませんが。

以前参加した「能楽妄想ナイト」でも、イベントの最後に参加者一同で声に出して題材を読みイメージを膨らませたのですが、その時などはつくづく音読出来ない自分に情けないものを感じました。参照:能楽妄想ナイトin6次元

この体験をきっかけに、朗読や音読。声に出して発していくということを今後は意識していってみようと思います。そしてそれが出来るようになったら結構気持ちがいいのではないかなと。

塞き止めているものを解放する行為。日本人にはとっても苦手な。

 

 

そんな風に写経読経を終えて(写経は真面目にやるもよし、途中で止めるも自由です)自分の手でなぞった写経の紙は献上してお庭の拝観という流れです。

お庭は・・・ほんとうに広大な敷地が一面苔に覆われています。この日は雨の予報でしたが苔が喜ぶほどのしっかりとした雨にはなっておらず全体的には水不足で少し乾いた印象でした。

西芳寺の拝観を終えて桂離宮を訪ねる頃に、ようやく本降りとなったという。

 

拝観者が誰もいなくなった雨の夕方。ひっそりと苔生した西芳寺。きっとそちらが一番しっくりくる姿なのではないかと。思いを馳せながら次回へ続きます。

 

 千早振る都の舞いはよしなし事を詠うばかり

夢香る霞の空を行き交う人風のまにまに

千早振る都の舞いはよしなし事を詠うばかり

瀬をはやみ流るる日々もかえすがえす降る雨のやう

— クラムボン ”雨”より

雨の日には必ず聴きたくなります。 雨とお庭で由無し事を。

 

それではこの辺で。

 

中條 美咲