人と会う機会が減ったせいか、以前より幾分静かな暮らしぶりになった。
外へ外へ、向いていたものが内へ内へ向かうようになった。
今も時間の使い方が随分へたくそなので、なかなか理想的な朝時間とか、過ごせないけれど。前よりも日々の些細な変化を感じられるようになった。(気がする)
最近はとくに”匂い”から季節や天候の変化を随分と感じる。
蒼蒼としていた緑は一気に濃く深くなり、雨があがった町は少しだけ夏の匂いがした。
きのう蕾で持ち帰ったシャクヤクは満開にひらいた。あんなにきゅっと閉じられていた蕾が開くと一枚一枚の花びらのひだがとても可憐で甘い匂いがしてつくづく美人な花だなあと羨ましく思う。
七日も保たないうちに、朽ちてしまうのが切り花だけど、はじまりから終わりまでを見届けるということから学ぶことも多い。
最近では通年通して生産される植物・生鮮品が多いかもしれないけれど、季節ごとに一年に一度きりしか会えない植物を生けたり、頂いたりする。旬のものにはたくさんの恵みが凝縮されているだろうから、それだけでたくさんの元気をもらえる。
そうやって、いままで暮らしてきたのだろうし、今も暮らしている人が大勢いる。母は誰に言われるでもなくそのように年中行事や習わしを大切にして、私たちを育ててくれた。
当時は、ひな祭りには甘酒。端午の節句には柏餅。お彼岸にはおはぎ・・・が食べられることが楽しみで嬉しい!くらいにしか思わずにそれがどれほど豊かなことか知る由もなかった。
何一つ身に付けることなく、実家を離れてしまったことが今になって惜しくてたまらない。
結婚したからといって簡単にあっという間に良く出来た妻や母になれる訳でもなく、そういったことは日々、繰り返して染み込ませていくしかないのだろう。
今はまだ、季節の花をいける。くらいのことしか出来ないけれど、これから時間をかけて、季節毎の習わし事を母から教えてもらおうと思った。せっかくの日本らしい風習や文化がわたしの代で途絶えてしまうのは残念すぎる。
最後に。
”豊かになる”の尺度が少しずつ自分の中で変化しつつあることを最近つくづく感じています。
今まで必要だと思い込んでいた多くのものが、意外となくても大丈夫かもしれないと感じ始めたからでしょうか…。
その辺りを掘り下げてみたら、とんでもない方向に進んでしまいそうになったので、今日はこの辺で。
内に向かい過ぎるのも何かと難ありですね。笑
ではでは。
中條 美咲