ふゆのよる、
橙色の室内はあたたかで和らぐ。
呼吸を整えるように
ていねいに、むかう。
向こう側へ。
*
B:ー しかしそこであなたは、自分が問いの場所にいるのだと知っている。それからまた、寺院から出て、陽光の下、自分の生に戻っていくのです。
美術館は新しいカテドラルです。
でも宗教との違いは、答えを求めないということで、それが重要なのです。誰にとっても、理解できない事柄があります。例えば、死はそのうちの大きな一つです。それは鍵のない扉のようなものです。それを開けるための良い鍵はない。でも、それぞれが鍵を作ろうとしている。人間であるということは、想像できないことに関して思いをはせるということです。
それは普遍的な問いであって、誰もが鍵を作ったり、それが良い鍵だと思い込もうとしたりしている。私は、鍵とは存在しないと思いますが、重要なのはそれを探すことだ、と思っています。その問いを、開かれたままに投げかけること、それが、作品をつくることなのではないでしょうか。
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つながりを求めることや光へ向かっていく姿と、それによって映し出される影の存在。
開かれたままに、投げられた問いかけがこだまするせかいが、
幾重にも重なり共鳴している
鍵を探すことによって保たれる生。
扉の鍵を開けたのはドナタ?
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アミニタスという響きがさざめく。