蝉たちは勢いよく鳴き始め、後戻りできない「夏」が始まりました。いやおうなしに。
3連休は映画をみました。
細田守監督作品「バケモノの子」。
細田監督の映画は、「おおかみこどもの雨と雪」が印象深く、時折観ては森へ行って(還って)しまった雨のことや、残された花の気持ちを思って涙涙。
親子といっても、どこまでも繋がっていられるわけもなく、ひとりの足で生きていく決意やら、勇気やら、後戻りできないいろいろな気持ちを巡らせてみては、(逡巡の余白があって)「いい映画だなぁ」と。
音楽を担当された高木正勝さんのことも、この映画をきっかけにぐーんと好きになりました。
ぐーんと!
それまでの高木さんは、どこかおしゃれで近寄りがたく、「フクザツ」な「クリエーター」という印象だったのが、ばこーん!とひび割れて、もうもう、満ち足りて溢れ出して音が勝手に踊りだしてしまっているような、そんな映画音楽に打ちのめされました。
そうしたお二人がタックを組んで挑んだ最新作、「バケモノの子」。
事前情報も予備知識もなく、観に行ったのですが…とっても面白かった!。(これ以下、ネタバレ有りと書いたほうがいいのかしら・・。)
とっても面白いの「とっても」を、どんな風に説明したら伝わるか、説明したい気持ちと、ほんとうは説明なんかする必要ない気持ちがこうしていつもせめぎ合う。
読んだ本や観た映画、どんな刺激的な情報にしろ、自分が受けとった感覚を同じように誰かと共有するなんてトテモ、トテモ。
一つだけ言いたいことは、タイトルの通り。
「真似びと学び、教えることもまた学び」
「学ぶ」ということを、長らく「受け身」でしか考えられなかった風潮(?)や思い込みを、バシーッと突き返されました。「それは学びではないですよ」と目が醒めて、世界が広がっていくような。
本来の「学び」とは、互いに頭を突っ込んでキリキリズキズキなりながら、それでも向き合わずにはいられない。そんな風に、学ぶ者・教える者が向かい合わせとなって「学び合う者」となっていく。
そうしたどちらか一方ではない、ぶつかり合いの姿に、現代の都市化したシャカイに欠けている荒々しくメラメラとした熱い「心の剣」(…だっけ?)の存在を感じたりしました。
強さってなんだろう。って。
ひとりで強くなってしまったことの不幸や、教えることでその空白を埋め合わせていく喜び。
知ることができて嬉しくてたまりませんでした。
思春期の子どもがいる親御さんだったり、
九太たちと同じ年頃の子たちは、どんな風にこの映画をみるのかな?って。そんなことを考えながら、あっという間にエンドロール。
おおかみ子どもで雨は森へ行ってしまったけれど、強くなった九太は、こちらの渋谷へ戻ってきたというのも、なんとなく腑に落ちる終わり方でした。
それがひとつの強さかなぁと。
気になる人は是非劇場へ!
中條 美咲