台風の風が、まだまだ名残を残す金曜のよる。
先日訪ねたばかりの四国のことを考えて、通り過ぎた台風の爪痕に耳を澄ます。
訪れたばかりなのに、すっかり思い出と沈殿させてしまうのはもったいないので、高松のことをちょっぴり記そう。
写真は、高松市内から車で20分ほどの山の上にある「高松市 石の民俗資料館」屋上。
「石の」というだけあって、意外と見ごたえがある石造りの建物がとても立派。施設内に来客なし。きっと日頃から訪ねる人は少ないのでしょう。
ここには四国の人々のかつての暮らし方、住まい方が(たくさんの木船の展示や、農作業に使われていた道具の展示etc..)たくさん展示されている。
建物の屋上から見渡せる、せとうちの景色がお気に入り。
昨夜は大きな台風の渦が、このあたりをずどーんと押し寄せていった。
豊島で出会ったあの子や、徳島のご夫妻は大丈夫かなぁと思いを馳せる。
ニュースでは相変わらずの定番として、ヘルメットを被ったキャスターが体を張って、いかに風と雨が強いかを危険を顧みず、前線から伝えてくれるけれど、そうした情報はそこそこに、自分の耳をすます。
風の音には本来、様々は情報が含まれていて、そうした情報はまずはじめ、風にのってやってきた。
風を読む人や、風の声を聴きとれる人、風に耳を澄ますことで、聞こえてくる何かはいっぱいあったのではないかしら。
そう思うと、テレビも音楽も消して。窓をあけて。台風が置き去りにした荒々しく力の有り余った彼らを身体で感じることは、なにかしら、自分たちの力の及ばない自然と対話しているような、そんな体験になったりするのかもしれない。
わたしはこの家で、膨れ上がるカーテンと、窓を揺らし訴えかけてくるそんな風たちの訪問を、できるだけ待ち遠しく迎え入れることにしている。
中條 美咲