先日、GWを利用して益子陶器市と笠間の陶炎祭・その脇の茨城陶芸美術館で開催中の没後20年ルーシー・リー展に行ってきた。
陶器市自体については、また別のところで紹介する機会がありそうなので、「焼き物を巡る旅」の中で個人的に大興奮したスポットについて。
写真は濱田庄司記念益子参考館といって、陶芸家の濱田庄司が、自ら参考とした品を多くの人にも見てもらいたいと、自邸・工房を活用し、始まった場所だそう。
わたしは民藝にまつわる人や品々、その人々の暮らし方が好きで、旅先ではこういった、あたたかみを感じられる場所に立ち寄りたいと思っているのだけれど、大抵は驚くほど空いている。
ここには豊かな暮らしの原点と言えるものが詰まっていて、ほんの少し足を伸ばせばゆったりと見てまわり、感じることができるのに、素通りしてしまうのはとてももったいない。
そうはいっても3年ほど前に益子を訪ねた時は、全くヒットしなかったのだから、ここ1・2年でわたし自身がどんどんそちらの方向に魅了され続けているという感じなんだと思う。
その土地土地で生まれた器や、染められた布物はもともと売るためではなく、そこで生活していく自分たちの暮らしを少しでもよいものへ、温かみのある方へ。という理由からきっと始まっていて、多くの人に売りたいという目的ありきでデザインされている商品たちとは、また少し違うようにも思う。
暮らしの中でもともと馴染み深い文様や柄、素材を無理なく自分たちの手を通してそのものへ写し出していて、だからこそ「愛着」という気持ちも生まれ、心がぴったり寄り添えるのかもしれないなぁと感じたりもした。
都会的でお洒落にデザインされ洗練されたものが素敵な時期もあったけれど、実際に使う人のことを考えたなら、そんなに大量に次々とつくる必要もなく、少なくても長く愛着をもって使えるものたちは、海を越えて、そのあたたかみも伝わるし、言葉が通じなくても大切に愛されつづける。
何にも増して、自然から得たエネルギーをそのまま素直に媒介し、生まれてきたものたちは、変にいやらしさがなく子供にも大人にも受け入れられて、どうしたって愛着を抱かずにはいられなくなるんだろう。
そして濱田さんの残したこの言葉を忘れずに、自分の中でも育てていきたいと切に思った。
“今の私は、作るものより生まれるものが増えることを願っています。” 濱田庄司
それではでは。
中條 美咲