お揃いの黄色いランドセルカバーと黄色い傘を持ち、誇らしげに小学一年生になりきっている子どもたちに出くわした。
新学期が始まって、まだ一週間ちょっと。
午前中の授業なのか生活の時間を過ごして新任らしき先生に先導され帰宅の途につく彼らの姿があまりにも新鮮さに満ちていて、この光景を前にうるっとしてしまった。
忙しい、忙しいと言いながら毎日を過ごしていると、前方ばかりに意識をとられ、左右や足元の小さな芽を見過ごしてしまって時には踏んづけて通り過ぎてしまっていることも随分多いだろう。(「踏んづける」という言い回しは方言みたいです。)
これから電車に乗るんだろうけれど、歩く速度で(それも寄り道ばかり!)せかいを見つめているこの子たちが捉える世界はほんものなんだと思う。
けんかをしたっていいし、ちょっとくらいお父さんとお母さんの期待から外れたっていい。
できるだけ自分の目でものを見続けて、大切なものをみつけて、守りたいと強く誓ってみたり、失って悲しんでみたりしながら、成長していく彼らは一体、どんな大人になっていくのだろう?
わたしたちだって、きっともれなくこんな時期があった。
「よく育つものは、ゆっくり育つ。」
どんなに早いスピードで世界を行ったり来たりしていたって、ほんとうにまっすぐ物事を見つめられる目はそんな速さばかりの中からは育ちにくいことだろう。
できるだけたくさん寄り道回り道ができ、それを遠くから見守ってあげられる雰囲気の世の中になってほしいし、していきたいなぁ。
中條 美咲