ことばと水と。

みるみる減っていく水かさを、どうにかしたいと考えたとき、

目減りしていくものをどのようにして止めればいいか、立ち止まって悩んでいては手遅れで、

其処に溢れていた水を、後になって取り戻すことはむずかしい。

 

いつまでもそこからこんこんと、湧きだしていたら良いのだけれど、

万物はあくまでも限りがあって、生き絶え、いづれ根も尽きる。

限りがあることを知ったから、いつかどこかの誰かが、井戸に水を貯めておくことを考えついたのか、どうにか自らの手で、その溢れや乾きを管理したいがためにダムのようなものを築き上げたのか。いずれにしても、水というものをコントロールすることはとってもむずかしい。

言葉と水はよく似ていて、実体が掴みきれない上に、言葉もよく氾濫するし、乾いてカラカラになったりもする。

適度な水分補給じゃないけれど、ちょうどいい具合に言葉の栄養を蓄え続けることはなかなか容易じゃない。

油断しちゃならないことは、企みを背負った言葉は時折身体をすり減らすということ。

 

立ち止まっても仕方がないので、せっせと井戸を掘り、根っこの部分をよく噛んで。
水分をしっかり蓄え、滋養に富んだ言葉を糧に少しずつ立て直す。

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中條 美咲