僕らの未開 〜忘れられたことを知ること…

先日、4度目の6次元で『僕らの未開』というイベントに参加した。

HPにはイベントの意図についてこのように書かれていた。

” 移動中、ふと人類のことを考えてみた。
人類はアフリカで誕生したと習った。いま僕らは日本に住んでいる。
ということは、僕らの祖先たちは、アフリカから歩いて、歩いて、移動して、移動して、
日本まで辿り着いたことになる。
その間には、砂漠があったりジャングルがあったり山があったり海があったり、暑さがあり、寒さがあったことだろう。
人類には、そんなあらゆる環境を生き延びてきた、“野生”が備わっていたんだと気づく。
野生とはつまり生命力で、その原動力は、“ここではないどこかへ”という好奇心だったんだと気づく。

いまや家の中にいるだけで世界中のことが調べられる。南極やアマゾンの奥地のことだって情報として知っている。でも、知ってはいるけど、実感はない。
知っている世界は限りなく拡がったはずなのに、どこか閉塞感を感じるのは、
“ここではないどこかへ”という野生がうずいているからではないか。
現状を打破したい。でもすぐに冒険へ出かけることもできない。
そんな時、“ここではないどこかへ”という矛先を、よく知っているはずの日本や、自分の中、僕ら自身がまだ知ることのない、僕らの未開へむけてみよう。

イメージの中では、あらゆる現状から飛び立つことができる。部屋の中にいて、ジャングルの奥深くにわけいることができる。
ストレスがたまっていたり、未知への好奇心を失いかけたりしたら、
僕らの未開を切り開く。
それは僕らの野生を呼び覚まし、未来への原動力になる。 ”

企画:熊谷充紘(ignition gallery

この文章を読んで、今自分が感じていること・切り開いて自分の足で踏み込んでいきたい方向とまっすぐにつながっているような気がした。

この企画は『僕らの未開』と題して、何回かに分けて少しづつ開拓し広げていくイベントとして企画されているようで、わたしが参加した第一回目のテーマは「  忘れられたことを知ること 〜宮本常一と写真〜 」というものだった。

「忘れられた日本人」という有名な本の執筆者であり今は亡き民俗学者:宮本常一さんについて。
写真家:石川直樹さんと編集者・文筆家:畑中章宏さんによる、宮本常一の魅力をとおして、忘れられていた日本の新たな扉を開くという内容で1時間半に渡ってプロジェクターに映された写真を切り口に対談が行なわれるという内容だった。

 

6次元は、過去にも何度か訪れたことがあった。参照:能楽妄想ナイトin6次元|紡ぎ、継ぐ

毎回参加する度に、平日の夜にも関わらず満員御礼状態なので、この場所の持つ力は底知れないなぁ。と関心するばかりか、今回は超満員で立ち見の方までいらっしゃる程の人気ぶりだった。

持ち込まれる企画も、出演する方も、集まる人たちも・・・
こういったリアルな(生もの)イベントでつくづく思うのは、それぞれの方向性や勢い、持ち合わせている力がうまく合わさってそこから化学反応のように新しい興味や関心、その先に繋がる何かが生まれてくるか、上手く融合せずに不完全燃焼に終わるか。そのどちらかしかないんじゃないかということ。

もちろん、個々で興味の深度や、好き好きはあるだろうけれど。そうはいっても、このようにたくさんの要素を一挙に抱え込んでブレンドして昇華させられるかどうかには「場」が持ち合わせる力が大きい。

そんな意味でもこの荻窪にある「6次元」という場所は、ネーミングの通り。次元を遥かに超えた何かが潜んでいる。知れば知る程もっと引き寄せられてしまう場所のひとつかもしれない。。

 

という長い前置きを終えて。
これから本題に入ったらどれだけ長文になるんだろうと不安になる・・・

はじめに言っておきたいことは。
25歳にして、まっさらな状態で「宮本常一」という人が過去に存在し、随分と大きな足跡をわたしたちに残してくれていた。ということをこのイベントで知る事ができた。

この人は民俗学者として世の中に認識されている(らしい)けれど、今を活躍している写真家の石川直樹さんに言わせると、写真への欲(正確には” 写真足らしめてしまう欲 ”)が相当に垣間見える。
彼の撮った写真は、民俗学者が一般的に資料として撮っている質も量も遥かに超えている。ということだそう。

民俗学者でありながら、写真への欲もあり、彼が歩いた地図を赤いマーカーで塗っていくと日本地図が隈無く真っ赤になってしまう。大げさでなくそれほどに「あるくみるきく」を体現された人らしいということだ。

 

民俗学者ってなんだろう。写真たらしめてしまうってどういうことだろう。
” 宮本常一 “って一体どんな人だったんだろう・・・・・

畑中さんと石川さんのお話を聞きながらすっかり、この人物への好奇心が膨らんでしまった。

次回、改めてイベントでお二人が話された内容や、「宮本常一と写真」についてまとめられればと思う。

 

それではこの辺で。

中條 美咲